澄み渡る青空の下、梶野町の住宅街に黄緑の旗がゆらめいている。青と緑のコントラストがとても綺麗だ。奥には同じ色合いの暖簾も見える。
ここは、子どもたちがワクワクする場所、そう駄菓子屋なのだ。
「こんにちは、中へどうぞ。」
優しい声に導かれて暖簾をくぐると、「わぁ!!」棚に並んだ沢山の駄菓子やおもちゃに、大人も子どももつい歓声がこぼれてしまう。
早速物色を始める子どもたちの横でぐるりと全体を見渡すと、そこは駄菓子屋のイメージを覆すなんともお洒落な空間だった。壁や棚は白が基調で、さりげなく置いてあるグリーンが映える。奥には腰を下ろすことのできるテーブルと椅子があり、綺麗なトイレも完備だ!
暖簾の外にはベンチや椅子、テーブルも置かれていて、お庭で買った駄菓子を食べることもできるらしい。
子どもたちにとっては至れり尽くせりの居心地の良い空間になりそうだ。私も入り浸りたい・・笑
今回は、そんな駄菓子屋あゆさいの店主、鈴木さんにお話を伺った。
◎活動を始めたきっかけは?
夫が、自宅を改築して小さな駄菓子屋を2017年に開きました。
元々、夫は癌の闘病をしながら会社員として勤めていたのですが、続けるのが難しくなり退職。
治療の合間の体調の良い時に何かできたらと駄菓子屋を始めたのです。
子育てする中で、子どもたちが安心して過ごせる場所が地域にもっとあったらいいなと感じていました。
体調を見つつ休んだり開いたりしながら続け、コロナ禍で2020年に長期の休みに入りました。コロナが落ち着いたら再開する予定でしたが、2022年に夫が亡くなりました。
その後、駄菓子屋を私が引き継いで2024年4月に再開させました。
◎現在はどんな活動をしていますか?
自宅を改築した小さなスペースに駄菓子、駄玩具を置いて販売しています。子どもたちが座っていられる机と椅子、遊べる玩具等も少しですが置いています。
◎これからやってみたい事はありますか?
子どもたちが駄菓子を買うだけでなく、気ままに過ごせるような居場所にしたいとスペースを広くする予定です。
色んな駄菓子を置いています。気楽にのぞきに来てね!
(自転車の駐輪可能。その横でコマ回しもできる!)
◎取材を終えて
取材に行った水曜日は、幼児連れの親子や小学生、そして中学生までもが次々と来店し、店内は賑やかだった。
みんな真剣に悩みながら選んで自分で計算して、鈴木さんのもとへ商品を持ってくる。
すると、鈴木さんが「いくらだったかな~?」と優しく声をかけ一緒に計算してくれる。
「お、ぴったりだね~」なんて褒めてもらって嬉しそうだ。
一言二言、言葉を交わしながら、お金を手から手へやりとり。
最近スーパーでは、お釣りは勝手に機械が吐き出してくれるけど、やっぱり手から受け取る方が安心するのは私だけだろうか。
鈴木さんは言う。
「何を買うかは子どもの自由。子どもたちが小さな選択をたくさんできる場所になっているといいなぁと思っています。」
我が子たちも、「何を選んでもいい」と言われる数少ない機会をフル活用して隅から隅まで物色中だが、その横顔はやたらキラキラしている。
最近、「これ欲しい!」と言われても、「余計は物は買いません」が私の口癖になってたもんな・・。
高い物はたくさん買えないけど、駄菓子屋さんなら小さいお金でもたくさん買える。ここならば親も安心して選択させてあげられる。改めてありがたい場所だなぁと思う。
「あゆさい」という名前は、今は亡き鈴木さんの旦那様が、家族の名前の頭文字を取って名付けたのだそうだ。
家族への愛がたっぷり詰まった駄菓子屋さん。引き継いだ鈴木さんも子どもたちにたくさん愛と優しさをもって接してくれる。そんな温かい人柄にきっと子どもたちもホッとするに違いない。
鈴木さんは「子どもたち、みんないい子なんですよ!」と語ってくれたが、きっとここに来たらみんないい子になってしまうのだろうなと思った。
温かくて居心地の良い、秘密基地のような居場所。
ふと気づくと息子がかごに爆買い中。300円の予算のはずが、自分のお小遣いを足して500円まで買いたいと言う。うーん・・・ま、たまにはいいかと折れる母。「ママ、ありがとー!」
にっこにこの息子は帰り道、「今日、幸せだったね~」と。
なんだか大げさだけど、ほんとだね。なんだか私も幸せでした。
(2023年6月 E.M 10歳女児・6歳男児)
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◆基本データ◆
団体名 駄菓子屋あゆさい
開催日時 月・火・水・金・第2、4土 14:30-18:00
(2024.6月現在 今後変更の可能性あり スケジュールはInstagramに掲載)
開催場所 小金井市梶野町4-20-2
問合せ先 dagasi.ayusai@gmail.com
Instagram https://www.instagram.com/ayusai_dagasi
(店主の鈴木さん。優しいお人柄が笑顔に溢れている)
(入口にけん玉やコマがあり、お庭で遊ぶことができる)