子どもにはどうせ分からない、じゃなくて子どもだからこそ感じるものがある。
そんな信念を持って、子どもたちに本物の芸術・文化体験を届けてくれる団体があります。
クリスマスやハロウィンの心躍る工作や絵本、屋外での水鉄砲合戦など、我が子も何度もお世話になっている団体、「遊び文化NPO小金井こらぼ」さんです。
今回は、理事長の石井万里さんにお話を伺いました。
◎活動を始めたきっかけは?
もともとは、「小金井子ども劇場」という任意団体から始まりました。
「子ども劇場・おやこ劇場」という団体は、「子ども達に生の舞台作品を見せたい、生の体験をさせたい」という、1960年代から生まれた市民運動から日本全国に広がりました。優れた舞台芸術に触れる機会、生の体験ができる機会を継続的にもつことを目指した会員制の団体から始まっています。
その当時は親子で会員になり、親子で舞台鑑賞をしたり、遊び表現活動を体験したりする会員のための団体でしたが、子ども達が暮らす地域が芸術文化を大切にしていくことが必要だと考え、対象を「我が子」ではなく、「地域の子ども達」にして、NPO法人になりました。
◎現在はどんな活動をしていますか?
任意団体の頃から続けている「舞台芸術鑑賞」や、「遊び・表現活動」といった芸術文化に触れる機会を企画・運営しています。
「舞台芸術鑑賞」については、宮地楽器ホールの親子のシリーズ事業の協力や共催だったり、近隣地域の「子ども劇場」と共同で企画したりして、人形劇や演劇、コンサート等を企画・運営しています。
「遊び・表現活動」は、子どもゆめ基金といった助成金を利用し、地域で子ども達に向けて活動している人や学生さん達と協力して、体を使った表現や、工作、書道、絵本体験など、様々なワークショップを開催しています。
子ども達に向けて体験の場をつくると同時に、地域での文化活動が大切だと考えるおとな達とつながることも大切にし、会員が地域で活動していること、やりたいことを一緒に取り組んでいます。
「街のえんがわプロジェクト~みち遊び~」や、「まちばの放課後学習室」「おはなし音楽隊」などがあります。
さらに最近では、宮地楽器ホール主催のイベントに企画運営等で協力する大学生を紹介するなど、コーディネーター事業も行っています。
(街のえんがわプロジェクトで、公園内で水鉄砲合戦!続々と子どもたちがやってきます。)
◎これからやってみたいことや、伝えたいメッセージはありますか?
今まで続けてきた「舞台芸術鑑賞」や、「遊び表現活動」を続けていきたいですし、そのために、仲間を増やしていきたいです。
実際に私達と一緒に運営してくれる人も絶賛募集中です。また、今何か地域で活動している人たちとも、ゆるやかに、しなやかにつながっていきたいと考えています。
このところ人と交流することが難しくなっていますが、その中でも出来ることを考え、出来るやり方でつながること、直接体験する機会を生み出していきたいと考えています。
そのためにも、新しい人と出会い、新しいアイデア、新しい機会を得られれば嬉しいです。
芸術文化に触れることは、不要不急だと思われがちですが、心を育むのに必要な要素なんです。
すぐに効果が現れるわけではないし、何か技術を身につけるわけでもない、何かに役立つか分からないし、役に立たないかもしれません。でも、人にとって大事なコミュニケーション能力と、豊かな感性、その二つを育むためには、「遊びや芸術体験」がとても有効だといわれています。心を動かしたり、震わせたりする体験は、感性を育て、生きる力を育む上で大切だと考えています。
◎その他
コロナ禍で人とのつながりや、リアルの体験が少なくなっている現在ですが、子ども時代にこそ、心を動かすことのできる体験が不可欠です。「大人も子どもも楽しい時間」をたくさん作っていきたいです。ぜひ一度遊びに来てください。
◎取材を終えて
子どもって本当に喜怒哀楽が豊かです。一緒に生活していると、笑ったり怒ったり目まぐるしくて、常に一緒にいると疲れちゃうくらい・・(笑)
でも、それだけ色々なことに心をたくさん動かされて、色々感じて生きているんだなと痛感します。
だからこそ、そんな子ども達の柔らかい心に沁み込むような、素敵な芸術・文化を体験させてあげたいと願う親が多いのではないでしょうか。
今回取材の一環で、「おはなし音楽会」に親子で参加させてもらいました。
ハロウィンの世界観を絵本の読み聞かせによって体感しながら、その絵本に登場する楽器を工作で作るという、聞いただけでもワクワクしちゃうような内容。
会場にある可愛らしい飾りつけや、ハロウィン関連の絵本の展示、工作に必要な材料の準備など、「小金井こらぼ」の皆さんがこのイベントのためにたくさんの時間をかけて用意してくれたことがよく分かりました。
絵本もただ読むだけではなく、音楽が奏でられ歌があり、不思議な効果音が聞こえたり・・。20名ほどの子ども達が皆惹きつけられて、心から絵本の世界を楽しんでいる様子。
個性豊かな作品になった工作も、子ども達のワクワクがたっぷり詰まった時間でした。
小1の娘に帰宅後感想を聞くと、
「楽しかったし面白かったし、ちょっと怖かった!!(おばけの絵本が)」
拙い言葉に集約されているのは、たくさん心が動いたということなのでしょう。
新型コロナウィルスの影響で、真っ先に後回しにされたのが芸術分野だったように思いますが、石井さんの言うように、子どもたちの心を育むのに芸術や文化は必要不可欠な要素なのだと私も思います。
お花にお水をあげるように、子どもの心が潤うよう、質の高い芸術や文化を、これからも「小金井こらぼ」の皆さんには届けてもらいたいと願っています。そして、我が子もまた何度もお世話になるのだろうなと思います。
(2021年10月)
>過去の団体紹介記事はこちら
【基本データ】
団体名:特定非営利活動法人 遊び文化NPO小金井こらぼ
開催日:(事務所開局日)火・金 10:00~15:00
開催場所:イベント毎に異なる。公民館や集会施設、ホール等。
TEL&FAX: 042-384-2569
メール:koganei.kodomo@gmail.com
ホームページ https://koganei-collabo.com/
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