小金井に愉快なおやじたちがいる、との噂を聞きました。
子どもたち以上に真剣に遊び、楽しみ、昔のやんちゃだった姿が目に浮かんできてしまうような・・そんな愛すべきおやじ達。
「小金井第三小学校おやじの会」の皆さんです。
今回は、そんなおやじ達の大将(地域連絡担当)である、小林さんにお話を伺いました。
◎活動を始めたきっかけは?
小金井に引っ越しをしてきた時、子どもたちが集団で遊んでいる場所がないことが不満でした。
プレーパークはあったけれど、子どもたちに聞いたら、「自分で行くには遠い」と難を示されました。
当時、江戸東京たてもの園でやっていた、大人と子どもが遊ぶ月一のイベントが楽しく、自分でもやってみたいと思ったのがきっかけです。
以前いた高松では、おやじの会活動もしていたので、おやじの会で子どもの集団遊びを企画して機会を作ろうと考えました。当時はPTA会長もしていたので、学校地域支援本部的な機能をおやじの会などのPTAボランティア団体に持たせて、地域と学校の接点をつくろうと考えました。
◎現在はどんな活動をしていますか?
コロナ禍で、毎月の外遊びが中心です。
おやじの会での活動が広がりをみせて、おやじの会農業部・ICTロボット部・みちあそびを中心とした交流イベント・子どもビジネス塾・オンライン配信のお手伝い等、メンバーの興味があることをそれぞれ実施。
緑中の放課後カフェもおやじの会メンバーの発案で始まり、今は実行委員会形式でおやじの会とは別に行っていますが、世話人はおやじの会メンバーです。
◎これからやってみたいことや、伝えたいメッセージはありますか?
これからは大人が地域と関わる事が大切で、子どもが小さいうちはまず、イベントに親子で参加。子ども関係から地域の知り合いをつくることをオススメします。おやじの会はその地域デビューの選択肢のひとつになると思います。
おやじの会のイベントは、PTA等とは違い、準備は当日のみ。事前の準備は夏の大イベント以外はなし。仕事が突然入ることは当たり前ですし、家族のイベントを優先してもらっています。(私が世話人として始めた頃から手抜きイベントが身上です。)
子どもが地域の大人や異年齢の子どもと顔見知りになることは、小学校や中学校でも人脈が広がります。
おやじの会で育った息子と娘は、「子どもの扱いがうまい」、「大人の話を聞くのが上手」、「面接が得意」という若者に育ちました。
一方、大人にとっても地域の知り合いは、会社の肩書きのないフラットな関係なので、ストレスがありません。ベテランや年長者がマウントしないように、「おやじの会、スゴイヤツはいるけど、偉い人はいない」をモットーに運営しています。フラットさがなくなったら意味がないですからね。
◎その他
サラリーマンは、地域社会に参加しにくい。なにせ超フラットな世界なので、仕事も肩書きもなしで、PTAや子ども会に飛び込むことに抵抗があるパパ(ママ)も少なくありません 。
そんな地域デビューをするためには、まずは、子どもと遊びに参加すること。知り合いが増えれば、地域のノリがわかってきます。
少子高齢化+財政難で、行政ができることがどんどん縮小している中、子どもたちが地域で育つ環境を整えるためには、保護者+元保護者が力をあわせてゆる〜い関係性をつくることが突破口になります。自分の子どもの幸せを望むなら、その友だちも幸せでないと成り立たないのが地域社会です。子どもが「非認知能力」をつけていくためには、自然や地域で思いっきり遊んだり、様々な大人や異年齢の子どもと出会い、様々な価値観や個性に刺激を受けたりする必要があります。
「我慢」することをまず学んでしまう昨今の子どもの事情を大変心配しています。
「できる!楽しい!」とまずは自己開放できる空間作りが大切だと考えています。
そのため、「おやじの会⇒放課後カフェ」と、子どもたちと地域での一貫した見守りと関係づくりが大切だと考えています。
メンバーはみなさんフルタイムワーカーのため、週末しか動けず、放課後カフェも月一の有給休暇で対応したりしていますが、十分じゃないけど、「できることをやろう」と動いています。
※「おやじの会とは・・」
日本各地の学校でできている自主的な活動グループ。
PTAのような全国組織はないが、自主的に集まって情報交換をしたり、エールを送り合ったりすることが多い。
年に1度、手上げ方式で「全国おやじサミット」が開催され、各地からおやじが集まる勉強会+懇親会が開かれる。
◎取材を終えて
おやじの会については、だいぶ前から知っていたけれど、イベントに参加したのはこの夏が初めて。取材の一環で、真夏の太陽の下、水鉄砲合戦に親子で参加してきました。
初めての参加に戸惑う私たちにも容赦なく水が飛んできます。
味方エリアで右往左往していた時、ふと気づくと敵方の父子が後ろに!
「あの人狙っちゃえ!!」と指示を飛ばす見ず知らずのパパ。それに応えた女の子が、バズーカ砲みたいな威力抜群の水鉄砲を私の背中に一直線・・。
いや~普通知らないお母さん狙い撃ちさせます?
でも、その一撃を受けて遠慮していた私の闘争心に火が付きました。(笑)
皆さんは、我が子と遊ぶ時、こんな風に思っていないでしょうか?
”遊んであげている”
私は恥ずかしながらちょっとそう思っていた1人でした。
”遊んであげている”、そう思っている時点で、2人の間には大きな壁があり、親自身が楽しもうとしていないように思います。
でも、おやじの会のおやじ達は、そんな壁をいとも簡単に突き破り、子どもたちと同じ土俵で心底楽しんでいるように見えました。
子どもの頃のやんちゃな少年が垣間見えるような、まるで大きなガキ大将のような、そんな姿がとても新鮮で魅力的でした。
小林さんも言うように、それは仕事や肩書がない「地域」という場所だからこそできることなのだろうと思います。
子どもたちにとっても、思いっきり遊び、対等に意見を交わし合うことができる大人が決して多くない昨今、このおやじたちはとても大切な存在だろうと思いました。
私も、決して立派な大人ではないのに、もう親だから・・とつい大人ぶっていた自分の殻を脱ぎ捨てて、いつの間にか童心に返って遊んでいました。
子どもの頃、遊び切って疲れて帰った帰り道をふと思い出す、そんな素敵な時間でした。
>過去の団体紹介記事はこちら
【基本データ】
団体名:小金井第三小学校おやじの会
開催日:毎月1回日曜日
開催場所:小金井第三小学校および周辺の公園など
メール:sansho_oyaji@mac.com
FB(公開): https://www.facebook.com/koganeisanshooyaji/?ref=pages_you_manage