不登校になったり、家庭内で問題を起こしたり・・・
子どもが「思ってもみなかった」行動をとったとき、親としてどうすればよいでしょうか。
このご時世、学校に行かなくても大丈夫、健康でさえいてくれたら、と一切悩まずくいきなり割り切れる自信が私にはありません。
大多数の親は、子どもが間違っていると思われる方向に行ったら正してあげたい、子どもの将来から不安要素をなるべく取り除いてあげたい、と思っているでしょう。かといって何をどうすればよいのか、何が正解でどちらが正しい方向かさえ分からないのです。結局、分からないながら自分なりに考えた中の最善の方向に向かって、やはり自分なりに考えた中の最善の方法でなんとかしようと頑張るしかない・・・。例えそれが子どもにとって全く意味をなさなかったり、はたまた逆効果であったとしても。
あれもこれもやって何も変わらないとがっかりし、悩み苦しむことを繰り返す・・・親にとっても子どもにとってもその負担は計り知れません。
親の一生懸命な気持ちを否定せず、カウンセリングなどによってその気持ちを生かす方向に導いてくれる。
子どもに効果的な対応を専門的な立場から助言してもらえて、且つ、子どもの側に立ちながらフリースクールや塾部門で適切なケアを望める。・・・元気プログラム作成委員会で用意されている場はそんな場です。
今回は理事長の小林先生と室長の早川先生に、主に元気プログラム作成委員会が運営している「カウンセリング研修センター学舎ブレイブ」についてお話を伺いました。
◎活動を始めたきっかけは?
2000年に、心のケアを中心とした不登校児向けのキャンプを行ったところ、参加者から不登校児がどんどん減っていき、その効果を実感することができました。
そして2011年、東日本大震災が起こります。
それまでのノウハウを生かし、被災した子どもたちのトラウマを軽減するべく、「すべての子どもに笑顔と元気を」をコンセプトに支援キャンプを行いました。心理士、教師、キャンパーなど専門家スタッフによる支援のもと、福島県裏磐梯小野川湖で2011年7月から6年間で20回、延べ約800人の子どもが参加してくれました。
キャンプを通じて子どもたちが心を癒し、エネルギーを蓄える姿に毎回こちらが感動し、より手ごたえを感じていきました。
支援キャンプで新たに得た経験や知見を、今度はキャンプ以外の日常でも活かせないかと考え、子ども・ご家族・支援者のお手伝いをさせて頂く場として、学舎ブレイブを立ち上げました。
◎現在はどんな活動をしていますか?
子どもへの支援と一口に言っても、様々な方向からの支援が有効であることから、不登校の子どもの居場所としての適応支援教室(フリースクール)、子ども・保護者・家族・支援者のためのカウンセリング、OK学習教室(学習塾)など、幅広く活動しています。
また、地域などの場での人材育成のために、子どもに関わる方たちのためのブレイブ主催の研修会、日本カウンセリング学会認定「カウンセリング心理士」養成講座(カウンセリング心理士の資格試験を受ける資格を得ることができます)も随時行っています。
他に、進路が決まらない、仕事に就いたけれど続けることができないなど、卒業後の子どもの就労支援も行っています。
◎これからやってみたい事や伝えたいメッセージはありますか?
学校に行きたくない、行きたいけど行けない、お友だちや勉強のこと、進学のことなどで悩んでいるお子さん、子育てに悩んでいる保護者の皆さま、ご家族の皆さまに、本当に気軽にご連絡を頂きたいと思っています。
ブレイブでは、苦手な勉強の克服、得意な勉強、得意なことを伸ばす、小グループによるコミュニケーションョンスキルアップなど、お子さんに合わせて活動を行っています。コロナ禍で開催できなかった野外活動などを復活し、お子さんが笑顔になる活動を増やしていきたいとも考えています。
他に、ブレイブに通うことができないお子さんのために、オンラインを活用した適応支援教室や、オンライン相談の機会を増やそうと考えています。また、お子さんが安心して過ごしているご家庭へも、こちらから訪問する機会を増やしていきたいと思っています。
地域の皆さまに支えられて10年が過ぎます。これからも地域とたくさんつながって、子どもたちのための活動を活発化させたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。
◎取材を終えて
『できることが増えるより 楽しめることが増える方が いい人生なんだよ』
出入口近くにそんな言葉が飾ってあります。とても優しい空気が流れている空間。そこでは、この「空間」を気に入ったこどもたちがおしゃべりをしたり、本を読んだり、思い思いに過ごしています。学校に行けなくなった子は、もちろんそのきっかけはありますが、とにかくエネルギーが足りない状態だと言います。また、心が解放されていないので、自立・自律がどうしてもできないとも。ここでは、状態に見合った程よいルールがありながら、チャレンジ バイ チョイス(自らが課題に対して挑戦する度合いや方法を自らが選択する) が徹底され、ゆっくりと生きる力の源が育まれています。
ブレイブでは無理に学校に行かせようとはしません。ですが、不登校解消率はとても高いそうです。温かい空間の中で子どもの中に育まれたものが、「学校に行こうかな」と自発的に思わせているようです。
万が一学校で安心感を得られなくても、家庭で安心感を得られればそれでよい、と小林先生がおっしゃっていました。どこか一か所でもいい、安心できる場があれば、子どもは前へ進める、と。
そしてそれは親の側にも言えるかもしれません。子育て自体が初めてで普段からすべて手探り状態の中で、不登校など想像だにしなかったことがふりかかってきたら、どこで何をどうすればよいのか分からない。親が親として安心感を得る場がないと思い込んでいたら・・・。本当に悲しいことです。子どもと同じように、どこか一か所でも安心できる場があれば、親も前へ進めるのではないでしょうか。
小金井には頼れる場所があります。不登校然り、もし何か一人では持て余すような子どもに関しての悩み事があったら、学舎ブレイブを通して専門家に相談してみるのも良いかもしれません。
(2024年3月 Kママ 11歳女児)
>姉妹サイト「えにえに」での紹介記事はこちら
◆基本データ◆
NPO法人元気プログラム作成委員会(カウンセリング研修センター学舎ブレイブ)
開催日 適応支援ルーム:月曜日~金曜日 10:00~16:00
開催場所 〒184-0004 東京都小金井市本町2-20-18-102
問合せ先 TEL:042-207-6885 メール:brave@genpuro.org
ホームページ https://www.genpuro.com
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ブログ「子どもの心のケア|学舎ブレイブのブログ」https://bravekobaken.com/(東京学芸大学名誉教授小林正幸理事長より)