たまごの時間「みんなでパン教室」

 
お父さん、お母さん、きょうだい、、、大切な人を亡くした子どもたちとその家族の悲しみに寄り添い、見守る場として、小金井公園の隣にある真蔵院のお堂「十住堂」と、その近くの一軒家「たまごの家」で「たまごの時間」という活動が行われています。
私も7才の時に父を亡くし、この活動にずっと興味があり、先日ようやく十住堂を訪ね、スタッフの方にくわしくお話を聞くことができました。(長文、お許しください!) 
 
この活動は、「エッグツリーハウス」という団体が開催する、月2回・約2時間のプログラムです。子どもたちはアート、外遊び、工作、ゲームなど、その日の気持ちに合わせてやりたいことを選ぶことができます。  
 
 

グリーフ(悲嘆感情)を言語化することが難しい子どもたちは、アートを通して自分の心の動きを可視化し、表現する事ができます。 
また、グリーフを抱える子どもは、時として大きなエネルギーを発散する必要があります。ここでは「どんな感情を出してもよい」という前提があり、「話したくないときはパスできる」「ファシリテーターと一緒にいる」「かたいものは投げない」など、最低限のルールを守れば、スタッフは極力見守り、受け止める姿勢を大切にしているそうです。
 
 
「はじまりの輪」というアイスブレイクでは、「私は**を亡くしました」と打ち明ける時間があります。自分以外にも同じ経験をした人がいることを認識します。最初は言葉にできなかった子どもも、信頼できる人たちと活動を重ね、体と心、気持ちが少しずつほぐれていく中で、ふとした瞬間に、家族を亡くしたことをスタッフや親友に話せるようになった子どももいるといいます。

春は陶芸、夏はキャンプ、秋はBBQ、冬はクリスマスと、季節を通したイベントも行われています。特に父や母を亡くした家庭にとって、こうした家族団らんのイベントを行うことが難しくなりがちですが、ここでは他の家族と共に負担なく楽しむことができます。
 
 
今回は、パン職人さんと一緒にカレーパンとドーナッツを作るパン教室の日にお邪魔しました。
 
 
参加した親子同士は、夏のキャンプを共に過ごした顔見知り同士だったこともあり、終始リラックスした雰囲気でした。 
生地の発酵の様子や、感触・仕上がりの違い、プロならではのこね方や成形の技に、大人も知的好奇心を掻き立てられました。何より揚げたての美味しさがみんなを笑顔にし、自然と会話も弾みました。
 
 
子どもたちは最初こそ遠慮がちでしたが、作業が進むうちに徐々にリラックス。若いお兄さん・お姉さんスタッフと紙風船やカードゲームで体を動かして思いきり遊び尽くし、満面の笑顔が見られました。
 
 
~スタッフの西尾さんより~
現在の参加者の中には、5〜6年通われている方もいらっしゃいます。中には、4歳で参加を始め、小学校中学年まで成長されたお子さんもいます。悲嘆感情から考えると、エッグツリー発足当初は2〜3年で卒業されることが多かったのですが、長く通う子どもにとって、自分の居場所として認知され、心理的支えになっているように思います。
 
また、大切な家族を亡くされた親御さんの多くは、仕事を持ち、日々忙しく働くママさんです。心の奥に悲嘆感情を持ちながらも元気に振る舞い、社会の中で何気ない言葉に傷付き、誰にも言えずにいた気持ちを「たまごの時間」で吐露されて帰られる方もいます。
子育ての何気ない悩みから大きな悩みまで、周りに相談できず悶々としていたことも、お互いの経験を語り合う中で、解決の糸口を見出しているようにも感じます。
 
子育て支援は、親御さんへの支援でもあります。
スタッフは皆、時間をかけて研修を受けており、なかには心理士、養護教員、元教師などの専門職も在籍しています。私たちは守秘義務を大切にしています。
 
大切なご家族を亡くし、悲しみを抱えながら孤独な子育てに行き詰まっている方、子どもの生活に変化や、ほっとできる居場所をつくりたいと感じている方。よろしければ、ぜひお子さんを連れてエッグツリーハウスにいらしてください。お待ちしています。
 
~参加者の方の声~
「同じ経験をした人たちだから安心できます」
「ひとりじゃないと思える場所です」
「学校の友達には言えないけれど、ここでは隠さなくていいから楽」
 
~パン教室に参加して~
初参加で緊張していましたが、スタッフの中には同じ経験をした方もいらっしゃり、温かく優しい方ばかりでした。多くを語らずとも、ほっとした時間を過ごすことができました。
 
人生経験の少ない子どもにとって、家族は世界の全て。家族を失うということは、世界を失うこと。私も7才の当時、もし身近にこのような場所があったなら、誰にも言えない気持ちを外に出し、心を癒すことができたのではないかと思います。
 
もし周りに同じ境遇のお子さんや親御さんがいたら、この場所のことを、そっと伝えていただけたら嬉しいです。
 
(2026年3月 3児の母 Kママ)
※写真は、保護者の同意を得て掲載しています。  
 
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