
こども農園が開催される日の午後3時、一人、また一人と小学生が畑に集まってきました。
「ただいま~」「先週植えた種、芽がでた?」「葉っぱが虫に喰われてる!」
小学校も学年もバラバラなこどもたちが畑に集まり、気付けば自然発生的に遊びや学びが生まれる畑の「のんびりタイム」が始まっていました。
今回は、こども農園の運営を行っている「まあるいのうえん」の渡邉裕樹さんにお話しを伺いました。
◎活動を始めたきっかけは?
教育学部に在籍中から、積み木や鬼ごっこ等の遊びについて研究していました。
学校の授業がゲームに負けていてはいけないと思い、こどもたちが夢中になる遊びを研究し、唯一公教育の中で「遊び」が授業に位置づけられている図工の先生になりました。
図工の授業でツリーハウスづくりや焚火に取り組み自然と関わって遊んでいくうちに、自給自足が本物の遊びなのではないかと思いはじめました。
そんな折こどもが生まれ、こどもとともに小金井市内を歩くようになると、宅地化されていく農地や生産緑地を目の当たりにしました。
担い手がいない農家さんが農地を手放されてしまう前に、こどもたちが遊びながら命の循環を体感し、自分自身もその循環の一部であると感じられる原体験が出来る場を作ろうと思い、活動を始めました。
◎現在はどんな活動を行っていますか?
現在は、わくわく都民農園小金井の一角で毎週水曜と金曜15時~17時半でこども農園を行っています。
こども農園では、種まきから栽培、収穫、種とりと二十四節気に基づき農作業を行っています。
具体的には、みんなが集まり「のんびりタイム」がはじまり、その後は作業「おしごとタイム」(この日はおやつを作るシェフ、コンポストで土づくり、鶏のロージーの餌やり、ジャガイモのお世話)を挙手で決めます。決まったら各々作業をはじめます。

作業が終わったところで集まって「おやつ」の時間。その後は「おはなし」があり、自分の植えた野菜の「おせわ」を行い、「かたづけ」をしてその日の作業は終了となります。

年に数回、田んぼや近隣農家等で日曜活動も行っています。
「まあるいのうえん」は、桜町のこどもの畑ラボ「みみラボ」の企画運営も行っています。
「みみラボ」は随時参加者募集(5歳〜小学生)、「こども農園」は毎年12月に会員(小学生)を募集しています。
また、こども農園は年間登録制ですが、2ヶ月に1回程度の「こども農園オープンデイ」も開催し、単発での参加を募集しています。
〉みみラボについてはこちら
◎これからやってみたい事、伝えたい事はありますか?
農作業は、自然が相手なのでうまくいかない事の連続です。
失敗したら、何がいけなかったのか知恵を絞って考え次に生かしていきます。
それは、問題解決型の学習につながります。
畑では、みんながバラバラのまま一緒にいる事を大切にしています。人も自然も野菜も生物もそれぞれの個性を認め合いゆるやかに繋がっている事、自分も自然の一部で生かされている存在である事が実感できます。
このわくわく都民農園は、東京都の都市農地保全と多世代交流が出来るモデル事業の第一号です。
生産緑地の貸借制度を活用しながらこども農園を運営することで、このモデル事業を他の地域にも広げていければと思い、現在市内の農地での新たなこども農園の企画も進めています。
あわせて、農地を守りながら小学校の給食の野菜をこどもたちの手で育てて食べる事が出来たら、全てのこどもたちが農を通した自然の循環に関わっていけるのではないかと考えました。現在、農家と学校と連携しながら「給食菜園」を市内に広げる活動もしています。
◎取材を終えて
「まあるいのうえん」が企画運営を行っているこども農園は、わくわく都民農園の中でもひときわ原始的な状態で野菜が育てられています。
私は、春菊の花を見たことが無かったですし、大根の種子を食べた事もありませんでした。
虫の葉の食べ方についても、気にかけた事はありません。
ところがこどもたちは、原始的に育つ野菜と自然環境を楽しみ愛でていました。
こどもたちには、単に遊び場があればいいというものではなく、遊びに繋がるインスピレーションを与えなければいけないと話されていた渡邉さん。その言葉通り、インスピレーションを与えるものとそれを受け取り遊びに変換していくこどもたち。
畑でのこどもたちは、心が開かれていて生き生きとしていました。
ひょっとしたら、渡邉さんがこども農園を通じて伝えたい事は、人間の感性を磨く事や自分自身をとりまく世界との関わり方、そして与えられた人生を苦労や困難も含め最大限に楽しみ生き切るすべではないのだろうかと感じました。
(2025年7月 はけのいえのお母さん 小4女児、5歳男女双子)
※写真は、保護者の同意を得て掲載しています。
◆基本データ◆
団体名 一般社団法人まあるいのうえん
開催日 毎週水曜日と金曜日15時~17時半
開催場所 こども農園(わくわく都民農園小金井内 東京都小金井市本町2-8-6 )
※JR中央線武蔵小金井駅徒歩5分
メール maruinoen@gmail.com
HP https://maruinoen.com/about/