2025年2月22日(土)、小金井市立緑小学校PTA主催にて思春期講座を開催しました。
小金井市立緑小学校体育館において、Kiku-ne代表の野澤菊枝さんを講師に迎えて、起立性調節障害についての基調講演をしていただいたのちに、起立性調節障害を実際に患っていた方が自叙伝的に自主製作を行った映画「今日も明日も負け犬。」の上映会を行いました。
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上映会が終わったのちに、再度野澤さんから障害についての詳しい知識や経験談などの講演をしていただきました。
野澤さんはKiku-ne代表で、ご自身のお子さんも起立性調節障害を患っていたことから、まだまだ知名度の低いこの障害についての普及活動、講演活動を広く行っています。
小金井市近隣では、国際基督教大学で過去に講演された経験があり、そのことから是非とも小金井市内でもお話ししていただきたいと思い今回の開催に至りました。
◆起立性調節障害とは?
昨今不登校やいきしぶり児童が激増しています。その理由には様々なものがありますが、そのうちの10%がこの起立性調節障害が要因ではないかと言われています。
起立性調節障害は、思春期のこどもに多く見受けられる障害です。
朝起きたくても起きられない、自立神経の不調により体が重い、勉強しても頭に入ってこないなど、こどもたちが何かをしたくてもできなくなってしまう。
言わばこどもたちのやりたい自由を奪ってしまう障害とも言えるでしょう。
まだまだ知名度は低いかもしれませんが、不登校児の中で少なくないパーセンテージを占めている障害なのです。
◆誰にでもなりうるもの
不登校問題は、他人事のようにとらえている方が圧倒的でしょう。
しかし、あるときこどもが不登校になってしまう可能性は誰にでもあるのです。
そのときに間違った知識を持っていたり、又は知識が無かったりすると、対応は後手後手に回ってしまいます。
なので、もしもに備えて不登校問題について知っておくことはとても大切なことです。
そのような背景から今回の思春期講座の開催に至りました。
◆起立性調節障害になったら
この障害は死に至る病というものではありません。
しかし、いつ治るという確実な治癒期間が定まっているものでもありません。
1年で治まる方もいれば、20歳になってもまだ障害が残っているという方もいます。
ただ長期短期はありますが、いつかは治る障害でもあります。
ただし、この障害が出ているうちは、朝や昼時間帯まで起きられないとか、疲れやすいとか、生活においてなんらかの支障を持つことになり、一般的な生活サイクルが奪われてしまうことになります。
こどもたちにとっては、「何かをしたいのにできない」というとてつもないストレス、ジレンマを感じ続けることになります。
◆野澤さんの経験談
野澤さんのお子さんもこの障害を患っていました。
つらい経験、大変だったこと、病院通いなど健常なこどもたちの家庭とは異なるご苦労があったと思います。
しかし、単位制の高校などで5年かけて卒業して大学生になったなど、今まで理想だと勝手に思い込んでいた「高校に入り3年で卒業して大学に入る」などの道だけでなく、人には様々な成長、未来への選択肢があるのだということを示してくれました。
「人は人それぞれで良い」ということに改めて気が付きました。
また、こどもと一緒にいる時間が増えた。これは障害がないこどもたちの家庭ではもっと一緒に過ごす時間が短かっただろう、だから今は幸せだったと思える、など経験者だからこそ語れる言葉も深く身に沁みました。
「推し活」などがこどもを支えてくれたなど、障害を抱えるこどもたちへのメッセージも実感のこもるものでした。
◆起立性調節障害の子どもたちの会
横浜市で起立性調節障害のこどもたちが立ち上げた会がNPO法人化するということで、メンバーのこどもから発表がありました。
>起立性調節障害の子どもたちの会についてはこちら
こどもたちも自ら考えて実行し、大人の助けを得ながら前向きに進み続けています。
1年前には、昼間でも起きられず、車いすに乗って公園を散歩することしかできなかった。その子がたった1年で50名を超える来場者の前で堂々と発表できている。
こどもの成長に思わず涙ぐんでしまいました。
◆映画「今日も明日も負け犬。」について
公式HPはこちらから
起立性調節障害を患った友人の実体験を小説に起こし、それを高校生がクラウドファンディングで映画にするという、まさに若者の若者による若者の為のエール映画だと思います。
心が折れて、毎日負け犬のようにただうなだれているだけだった毎日。
そこから希望を見つけ出し、どん底から這い上がっていく。
映画の制作風景までがワンセットで、色々な苦労をしながら、高校生たちが映画を作り上げていき、深まる友情、心の成長が強く表現されています。
人の可能性は無限であり、そのチャンスはどこにでもある。それをつかむきっかけがあれば誰でも羽ばたける。これは大人が見ても良い映画ですが、是非とも青春の最中にある多感な若者にこそ見ていただきたいと思いました。
最後になりますが、講演いただいた野澤さんと、素晴らしい映画を作り上げた高校生の皆さんに心から感謝いたします。
(2025年2月 ひなちゃんパパ 5年男子)