Vol.13 of 小金井子育て・子育ち支援サイト「のびのびーの!」

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【Vol.13】
お風呂場でのコミュニケーション

吉冨友恭

 わが家には小学校に通う娘と息子がいます。私が水の生き物や環境の研究をしている関係で、うちの家族は他に比べて水に親しむ機会が多い方かもしれません。水族館や川や海へ行くこともよくあります。今年の夏休みにも渓谷に遊びに行きましたが、そこで何度か温泉に入る機会があり、ふと子どもとの入浴の時間について考え始めました。
 ふだんの生活での水との接点を考えると、お風呂場がもっとも身近ではないでしょうか。入浴の効果については、血行促進や疲労回復などがよく知られていますが、コミュニケーションの観点からもその場がつくり出す効果があるように感じています。お風呂に入る時間は、一日の中でも子どもとゆっくり対話できる時間で、これまでを振り返ると、何気なく過ごしている入浴の時間の中に、いろいろな場面を思い出すことができます。
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 小学校低学年までは、いろいろなものを持ち込んでお風呂に入りました。動物や乗り物の形をしたスポンジ、水鉄砲のようなおもちゃもありましたが、市販のおもちゃだけでなく、お湯を入れたり、浴槽に浮かべたりできる簡単なものでもよく遊んでいました。プリンなどの食品の容器やペットボトルなど身近にあるものです。
 それらを持ち込むと、並べてお湯を入れて移し替えたり、渦をつくって回転させたり、シャンプーの泡を入れたりと、実験のようなことが始まります。容器を船のように浮かべたり、シャワーで勢いよく動かしたり、いろいろなパターンを試しながら、オリジナルの遊びやゲームも誕生します。
 浮くものを沈め、空気を入れた容器が予想以上の勢いで浮かんでくることに驚いたり、沈めたものが光の屈折で歪んで見えることを不思議に思ったり、遊びながら水の性質を体感していたようにも思います。表面張力を覚えるのもお風呂での体験が最初だったかもしれません。
 湯気で曇った鏡や壁は黒板代わりです。よく落書きが始まります。字を書いたり絵を描いたり、石けんで泡まみれにしたガラスについた泡の形から、動物を探し出したり、変な顔をつくってみたり。
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 そういえば、数を数えたり、九九を覚えたりするのもお風呂でした。しりとりもよくしました。他にも、歌ったり、替え歌をつくったり、イントロクイズをしたり。お風呂場は声が反響するので、大人でもよく歌っている人がいますね。音の環境としてもお風呂場は最適です。
 浴槽では、どれくらいの時間をお湯に顔をつけていられるかを試したりもします。大人はできませんが、子どもは浮いてみたり、バタ足の練習をしたりできます。湯船では人が動くとお湯が大きく揺れて、身体が大きく動かされるので、水の力の大きさを感じます。身体がお湯に動かされて大きく揺れて盛り上がります。
 このように書くと、わが家はいつも大騒ぎをしているようですが、もちろん静かにのんびりとお湯に浸かっているときもあります。しばらく黙っているときには、学校での出来事や、前から気になっていたことを思い出して話し始めたりします。他にも、楽しかったこと、時には、困っていることを話し出すこともあります。
 このように振り返ると、お風呂場は、落ち着いて考えたり、思い出したり、何かをつくったり、試したり、練習したり、いろいろな状況をつくり出す不思議な場所に見えてきます。
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 水の役割や効果については、多くの側面から語られていますが、イギリスの動物学者のライアル・ワトソン氏が来日し講演した際、人間には顔に水を浴びると、心拍数が落ち酸素消費量が下がって落ち着く「潜水反応」がみられることをとりあげ、人と水との親和性について話していたことを思い出しました。この反応は陸上動物の中でも珍しく、人間特有の反応のようです。
 入浴時には子どもも親も、頭の中をリセットすることができ、精神的にもリラックスできる状態で、あれこれ話したり、遊んだり、また、何もない状態から考え始めたり、想像力を高めたりできるのではないでしょうか。
 この記事の執筆をきっかけに「浴育」という言葉があることも知りました。お風呂の歴史から考えると、もっともっと多くの効果があるのかもしれません。そんなことも考えながら、これからも入浴の時間を楽しみたいと思っています。

吉冨友恭
東京学芸大学環境教育研究センター准教授。博士(水産学)。
河川の生物と環境との関わりを探るための調査や研究を行う傍ら、同分野の研究成果や関連知識をわかりやすく表現し、展示やメディアを通じて社会に橋渡ししていくための研究や創造活動を進めています。

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