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私は七歳。市民レポーター。
夏休みに小学校の校庭で水鉄砲合戦があるという。
辺境民とはいえ私も江戸っ子。
合戦喧嘩とあらばなにをさておき馳せ参じよう。

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五歳の私を知る人にはまずはご無沙汰の失礼をお詫びしたい。私儀、武者修行を経て小学生となり、幼児から児童へ昇格しました。いやいや祝っていただくような話ではありません。日本は年功序列社会。就学年齢がくればおしなべて入学し、定年がくれば退職するシステムだと聞いています。ん? 最近は違うの?
 
さて、夏休みに小学校の校庭で水鉄砲合戦があるという。主催は「小金井三小おやじの会」。拡声器を持っているのがおやじの会の機動する放送塔、コバヤシさんだ。「こうしなさい」の指示命令ではなく、「次はこれがあります」と伝えてくれる。それを聞いて判断し、動くのは私たち自身だ。

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様々な準備ができたら、ようやく弾込め……いや給水だ。
水鉄砲合戦は水エネルギー弾で行う。つまり水道水だ。そもそも日本では銃器は保持しないと決めてあるが、この銃器をかたどったガン具はコミュニケーションを目的としている。いわば「キミと関わるぞというキモチの発信機」だ。じっさい水鉄砲で打たれて死んだ人はいない。おそれるな、ゆくぞ者ども。

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合戦開始だ。私は雄叫びをあげた。おや、なんだか図体の大きい小学生男子が混じっているようだが?

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なんだ、大人の男子じゃないか! これがかくいう「おやじ」か。小中学生だけではなく、おやじさんも本気で水鉄砲をかまえて疾走するのが「おやじの会」なのだ。これはデインジャラスな戦場に来てしまったぞ。

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そう、この人は大将だ。首から下げているのは「いのちの的」。金魚すくい用のうすっぺらな紙だ。大将のふたつの的を打ち抜くか、敵全員の的を打ち抜けば、勝負あり。合戦は終わる。だがなんともまあ、やぶれやすいことだろう。いのちとはかくもはかない。

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だがおれはいくぞッ!

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ザッザッザッザッザッザッ。

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くらえ愛の弾丸!

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愛とは笑わせるぜ! 
勤め人というものはな。
残業休出で月月火水木金金。
朝から中央線が人身で…! 
今日も客先に「申し訳ございません」と…! 
上司のムチャ振りで、部下が一瞬でメンタルに…!
かみさんが、娘息子が。
実家の親の奇襲が…!
 
小金井のおやじの会への参加者は絶妙なバランス感覚で生き抜くサラリーマンが多い。

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まずい、例のやつが水鉄砲を抱えて匍匐前進してくる……!

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オレンジ色の憎いやつ「(…標的確認。前方12時。サンダル履き長身。黒づくめの晴れ男)」

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大将「お、おまえは! いつの間に」
オレンジ色の憎いやつ「いまごろ逃げても遅いんだ…。ロックオン!」

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接近戦だ。
関係筋の六年生によると、オレンジ色の憎いやつの愛称は夕刊フジ。ではなく、ヒラさん。小金井三小おやじの会でもっともデインジャラスなおやじだという。飯能まで走っていける。腹筋は割れている。
 
だが私は知っている。体育館の暗がりで泣いている子どもがあったとき、ヒラさんが分け入ってその子を見つけだし、親が迎えにくるまでずっと高く抱きあげていたのを。

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肉弾戦になった。小学生女子が駆け寄って来て容赦なく追撃する。ヒラさんはのちに語る。「女の子でも闘争本能むきだしで襲ってきますからね。てごわいです」

最強の水鉄砲は?
子どもたち「霧吹きです」
ひごろはカブトムシの世話、植木の水やり、いざとなったらおやじ相手に闘える大容量多目的アイテム。手前と奥に二名ミストガンソルジャーが。

敵と闘うコツは?
ヒラさん「目を見るんです。みんな行きたいほうを見てますから。視線でゆくさきがわかれば、攻撃でも逃走でもその裏をいくだけです」

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ヒラさん「援軍か。いったん退散だ…」
大将「逃がすものか。追え、オエーーッ!」
ヒラさん「大将め、昨晩飲み過ぎたようだな。むしろデインジャラス…」

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後方に赤い服のおやじさんがいるのを私は見ていた。にっこりしているがあの人も目が血走っている。
 
コードネーム「赤い彗星」。このあとまもなく、この男はだれにも思いもよらない行動をとることになる。三回戦の終盤、残すところ10分。時は満ちた。

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「おいッ、赤い彗星がバケツを抱きかかえて疾走してくるぞッ」

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うわあッッッ!

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ヒラさん「赤い彗星め、派手にやったな。水換えバケツをぶちまけやがった!」

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水換えバケツとは、味方全員の水エネルギー弾の補給水のことだ。最初に3杯与えられる。水をひっくり返せば、もう全員、弾はない。繰り返すが、もう、タマは、ない。これがルールだった。まさに捨て身の自爆戦法だ。敵も味方も大人も子どももあっけにとられたのはそのせいだ。
 
赤い彗星は二杯目を抱えて走ってきた。全身に水を浴び、敵も味方も闘志に火が点く。

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こうした状況を見てとって、コバヤシさんが拡声器で伝える。
「ではルールを変更します! いまから水換えバケツ3杯制限はなしです。バケツに水道水を補給していいです」
 
掟破りが新たな掟になった。

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バケツ合法化のアナウンスをきいたヒラさんはすかさずバケツ攻撃に移る。赤い彗星が掟を穿つファンタジスタなら、ヒラさんはコンプライアンス。法令遵守が身上だ。同じデインジャラスでも、やり方はおやじさんそれぞれ。

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「おやじ死すとも自由は死せず!」
 
あっぱれな仁王立ちのもと、水鉄砲合戦はゲームオーバーとなった。

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この会では、水鉄砲合戦以外にダンボール住宅づくり、カレーづくり、校内きもだめし、夜食のチーズ&ソーセージ薫製、紙芝居上演、親子宿泊、朝食のおにぎり味噌汁作り、竹割り、ニジマスのつかみどり、手開きで串刺塩焼き、流しそうめん、焼きマシュマロ、大学生から園児までの異年齢あそびを次々と行う。

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徹底的におもしろい14種類のプログラムを十数人のボランティアスタッフでまわせるのはなぜだろう。入念に打合せやリハーサルを行ったのだろうか。

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「ゆるいですよ」と小林さんはいう。出欠とらない、ドタキャンオッケー、どこでも参加可であるからこそ門戸が開かれる。だがだれでも二回参加すれば自分で動けるようになる。だから、フラットな関係を保つ。ぜったいに長や代表を作らない。個人が自分で判断できる環境を守っているのだ。

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おやじの会のいいたいことは、私にも感じ取れた。
いろんなことを自分でやり、とりにいく。おやじさんはついてこない。自分でやればおぼえると知っているのだ。私も、つるつると滑るニジマスを何度も取り落として、ようやくエラのところをぎゅっと掴むのだとおぼえた。

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自分で作って自分で住むからおもしろい。ダンボールハウスを作ってそこで寝るのは、家以上に気持ちよかった。解体のときは涙が出た。災害のときは学校が避難場所となるそうだが、せまいところがあれば安心できると知った。

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自分でやる。
自分で判断する。
自分で動く。
それこそが小金井三小おやじの会がこどもを通じて世に送り出す「真の自由」のメッセージだ。
 
■小金井三小おやじの会
https://www.facebook.com/koganeisanshooyaji/

[取材]小杉圭子

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