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そう、僕は14歳だった。昨日だったか、数年前だったか、はたまた数十年前だったか、よく思い出せない。どこかの街にいた。学校と塾と家を結ぶA点-B点-C点そしてA点。寄り道せずにすごい速さでまわり続けていた。ひとりで街に出れば補導される。別の場所にいくお金もない。年の違う知らない人たちに自分の気持ちなんて話せるはずもない。今日は真夏の日曜日。あまりの暑さに世界が揺らいだその瞬間、過去から幽体離脱した僕が、ここ小金井市公民館本館にぼんやり立っていたというわけだ。

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昨日まで涼しかったのに突然の真夏日だ。青空がまぶしい。きしむボタンを押すと、ごとごとと音をたててエレベーターが来て、僕らを三階まで運んだ。だれもしゃべらない。あれ、閉じ込められたかなと思ったころ、おもむろに扉が開く。この歴史ある公民館本館は、もうすぐ貫井北町に移転する。新小金井街道沿いに、新しいのを建てなおすのだそうだ。

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小金井市公民館では今年も子どもの人権講座を七回シリーズで行っている。もう七年になる。今日はその第三回、「車座トーク」だ。中学生や小学生やオトナが語り合う日だという。

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集会室に入ると、青いCDラジカセがクラシック音楽を奏でている。シベリウスだった。そばにのだめカンタービレの漫画をあしらったCDが置かれていた。この講座を企画した社会教育主事の渡辺さんの選曲だそうだ。ラジカセに油性ペンで「電源→」と書き込んである。

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え、お菓子とドリンク? テーブルのあちこちに置かれている。公民館とは学校か市役所のような場所だと思っていたがおやつを食べてもいいのか。ハッピーターンとカントリーマームはおやつの基本だよな。

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小学生がいる。子どもによる子どものためのまちづくり「ミニこがねい」での二日間について語った。右のふたりは、絵のうまい小学生カフェオーナと手作りお菓子の中学生パティシエだ。中央左の小学生は新聞社、左の小学生はしごと紹介所を手がけたそうだ。まちではミニコという通貨も発行する。まとまった部数を売り上げたデスクが「たしか新聞にまんがを書いてくれたことあったよね」と話題をふると、カフェオーナーの少女が「うん、コラボした」と応える。

まちの人にしごとを紹介しながら、少年はこんなことを考えたという。「ものが売り切れるとしごともなくなり、お客さんも来なくなる。しごと紹介窓口まで来てくれても、しごとがない。お店をやる人には、人を雇うところまで発想がない。だが子どものまちでは与えられた通貨ミニコを使ってしまえばできることがなくなる。しごとを得なければミニコも得られない」。僕はロウドウケイザイということばを思い出す。

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中学生もいる。学校内で環境や人権について活動していると話した。屋上緑化に取り組んだら、温度が下がった。特別支援学級の六組と運動会で交流し、一緒に走る。「基本、六組が一位です。楽しいです!」。初対面のオトナたちを前に、思わず声を張る。

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あいつは、作文で賞を取り、東京のどまんなかで全国の中学生たちと会って来たという。あいつの背筋はまっすぐのびていた。「受賞した人たちと一緒に作文を読む機会があり、感銘をうけました。こういう人たちがほかにもいるんだなあと思いました」。

そうしてこう続けた。「いじめはなくならないのかなと思いました。それが正直な感想でした」。あいつはこうもいった。「ほんとなら強いものが弱いものを守っていく。いじめられるのはおかしいとも思う」。そして続ける。「周りの人はいっていました。関わればまきこまれる、それがこわいと」。

僕の胸がずきんと疼いた。そうだ、こわい。こわかった。押し黙るしかなかった。なにかいえばはずされる。それが学校で、それが社会だった。

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小学生がいった。「僕のまわりにもあります。二、三人で一人を精神的に責める。へたしたら先生より支配力をもっているかもしれないグループを作って、僕や僕の友達が、そういうことをされる。みんなの前だとふつうの顔をするんだけど、陰で自分はお前より優れているんだぞ、さからうとこわい、みたいなのがある。注意をした人が逆に攻撃されてへんなあだなをつけられ、半泣きになるまで囲まれるんです」。

地域の人がいう。「いじめはある。なくそうとすればいじめは地下にもぐってしまいます。いじめをとめる人、見過ごさない人がいることがだいじなんじゃないでしょうか。ふくよかに受け止めつつ重傷化させないためには、どうしたらいいんでしょう」

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大学のこども未来研究所から来た人が、世界の子どもの自尊感情について話し、円グラフと折れ線グラフの書かれた小金井市の資料を配った。

資料に目を通して、中学生のあいつがいう。「いじめる人はほめられることが少ないそうですが、保護者がほめてのばすのはいいと思うんです。この資料では、ほめられることが多いと思っている子どもが16%、ほめることが多いと思っている保護者が23%。つまり保護者が思っているほど、子どもはほめられていると思っていません」

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「仲間を作ろう」。その男性は太い声で小学生にいった。輪島と書かれたTシャツを着ていた。「こういう場所には、中学生のおにいさんおねえさんもいる。大人もいる。いろんな人と話して、友達を作ろう、自分を強くしていこう。前向きに歩んでいくことが、僕は大切だと思いますよ」

うしろの席の女性がゆっくりいう。
「私は障がい者として働いています。まわりはとってもやさしい、かけがいのない人たちばかりでした。人間は感情の動物で、言い方ひとつで変わっていく。ことばを選んでいくことが大切でした。こういう場に参加させてもらったことをうれしいと思っています」

あいつは背筋をしゃんとしたまま、輪島や女性の話を聴いていた。

公民館は、社会の縮図だ。年を取った人も若い人も子どももいる。印刷してあっても電源の位置がわからない人が何人もいて、それならと矢印を油性ペンで直接機材に書きこむ人がいる。中学生と小学生とおじさんとおばさんが人間について語り合い、シベリウスを聞きながらカントリーマームをかじる。それがまちで、それが社会だ。

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Tシャツの背中のシロクマが僕に気づいた。声にならない声でいう。おや、お前、だれだ? どこからきた? なにしにきた? なぜ写真を撮り続けるんだ? 本当は何歳なんだ?

学校-塾-家庭。A点B点C点で閉じられ高速回転する三角形には、D点やE点があった。あのころあの街で出会えなかった友達や大人が、この公民館にいるかもしれない。なにを見ても押し黙るしかなかった僕だけど、いまならだれかに、伝えられるかもしれない。

僕はいま出会い直しているんだ。そういうと、14歳のあいつがこっちをみて、にっこりと笑った。

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子どもの人権講座
七年目を迎える。

小金井市子どもの権利に関する条例
平成21年3月12日に制定。

小金井市公民館
図書館と公民館の一緒になった社会教育施設を新設。平成26年4月1日に貫井北町1丁目に開館予定。

相談・テレフォンサービス
のびのびーのからのリンク集。小学生、中学生も相談できる。

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[取材]小杉圭子

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